シチリア出張の合間の日曜日、レストラン" Il Consiglio di Sicilia
イル・コンシリオ・ディ・シチリア”のシェフ・アントニオとロベルタが 隣町のScicliシクリに連れて行ってくれました。 人口3万人足らずの小さな街ですが、ユネスコの世界遺産にもなっています。 前史時代に遡る洞窟の住居跡、いくつもある美しい教会、 100年ほど前の薬局を保存した場所、、、、。 現在は、イタリアの大人気テレビ番組シリーズだった "Il Comissario Montalbano(映画になった際の日本語訳は " モンタルバーノ〜シチリアの人情刑事")の撮影地として有名な場所です。 夕暮れ時に1時間ほど散歩をして、簡単に夕食を。 その日の写真を何枚か選んでみました。 ぜひいつか機会があれば、レストランとともに訪れてください! 近くのラグーサ・イブラ(こちらも世界遺産。初めて見た時には腰を抜かしました)、 モディカも素敵な街です。
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搾りたてオリーブオイルをご予約くださったお客様より、 “搾りたてオリーブオイルを使ったこのひと皿!ってなんでしょうか?” とお問い合わせを頂戴しました。 すぐに浮かんだのは、Fettuntaフェットゥンタ。 パンをトーストし、新オイルをたっぷり。そして塩をぱらり。 それだけなのに、旬ならではの最高の美味しさです!! 上の写真のように薪で炙ったり、炭火で炙ったり。 また普通の食パンをトーストしただけでも十分に美味しいです。 新オイルならでは、というとやっぱりこちらがNO.1かもしれません。 トスカーナでもフェットゥンタはまさにシンプルなご馳走です! ぜひお試しいただきたいのは、炊いたり茹でたりしたお豆に、
新オイルとお塩。普段も美味しい組み合わせですが、 オリオヌオヴォはさらにそのマリアージュが際立ちます。 また柔かく茹でた冬野菜にもよく合います。 ブロッコリーやカリフラワーなどのほか、カーボロネロ(ケール) やほうれん草などをクタクタにして、搾りたてオリーブオイルをたっぷり。 そしてお塩。 アツアツの具だくさんのスープに、召し上がる直前に入れていただくと ふわーっとグリーンの風味が立ち上がってスープの風味にコクが生まれ、 味わいがさっぱりします。 良いオイルは後味もすっきり! 酸度が低い(=酸化していない)オリーブオイルのジュースですから。 アンチエージング効果や、血管を綺麗にする効果がある豊富なポリフェノールが、 喉にピリリ!という心地よい辛味を感じさせるのです。 これも新オイルならではの醍醐味。お料理にかけていただくと 辛味分は吸収され感じ方は穏やかになります。 このピリリもいまがピーク。少しずつ穏やかに、まろやかになっていきます。 喉にピリリとくるポリフェノールが豊富だと、オリーブオイルが長く安定してその品質を 保つことができるのです。カペッツァーナの3年前のオリーブオイルを 味見したところ、まだまだとても美味しくて驚きました! 辛くて青みが強いオリーブオイルがお好きか、まろやかでデリケートがお好きか、は それぞれの個人の趣向で、どちらが良いということはありません。 産地や搾る時期、搾り方なのでも仕上がりが変わってきます。 ただ"酸度の低さ=どのくらい酸化していないか"は品質の目安になります。 0.2%~0.8%の酸度のオリーブオイルが、エキストララヴァージンと いわれるものですが、私たちの生産者さんのオリーブオイルは 年によっては0.2%台を切って酸度0.1%台のことも! つまりエキストヴァージンのカテゴリー超え! いくら酸度が低くても(=品質が高くても)、 辛すぎるなど、バランスを欠いたオリーブオイルは私たちはチョイスしていません。 私たちがご紹介したいと願っているのは、味のバランスが良いオリーブオイルです。 青いフレッシュな風味がしっかりあり、辛すぎず、アグレッシブすぎず。 お料理にも合わせやすく、またそのまま召し上がっても心地よい美味しさのオリーブオイル。 趣向品ですから、お好みの味をぜひ見つけていただけますように。 収穫が始まったばかりのオリーブ。収穫したらすぐに搾って 2週間ほどデキャンティング。澱を沈めて瓶詰めいたします。 11月の下旬に日本に到着する予定です。 その後できるだけ早く通関し、そして12月の初旬ごろから順次みなさまにお届け予定です。 ぜひお楽しみにされてください! シチリアは海辺の街ドンナルカータにある、友人が営むレストラン " イル・コンシッリョ・ディ・シチリア”へ。 コロナ前の2月、NHKの番組「世界はほしいモノに溢れている」の 撮影でお邪魔し、シェフ・アントニオにゴールデンイエローの ダッテリーニの使い方を教えてもらった以来。 この地で揚がった新鮮な海鮮、シチリアの大地の恵みを使い、 素材の繊細な風味を活かしたお料理が素晴らしいアントニオ。 今回、さらに腕をあげていました! 写真右上は忘れがたき美味しさ、ズッキーニのクレーマ・ミント風味。 リゾットはフィノッキオ(ウイキョウ)のクリーム。 シチリア産夏の黒トリュフをたっぷり使っています。 衝撃的だったのが、リゾット米がバスマーティ種だったこと。 つまりインドの軽やかなお米で仕上げていました。 シチリアの素材ととてもマッチ。小さく切ったウイキョウをふりかけて。 アントニオのカンノーリの美味しさたるや。 直前に詰めています。クリームがとてもフレッシュかつ軽やか。 何個でもペロリと行ってしまいそうです。。。 姉さん女房であるロベルタは、10年前に結婚してレストランを夫婦で営むように なる前は、フードジャーナリストとして活躍していました。 ロベルタの本が店内に並びます。 右側はお手製のジャム。ビターオレンジにウイスキーを使ったり、 ここでも彼らならではのツイストが効いたものばかり。 コロナのロックダウンが解除された後、どんなことになるのかと
二人とも心配していたようですが、夏は大繁盛だったとのこと。 みな外国に行けなくなったので、シチリアに行く人も多かったようです。 例年より、良いお客様が多かった、と教えてくれました。 10月に入っても海水浴をする人も目立ったドンナルカーナ。 テラスもとても気持ちよく、アントニオが作ってくれる 軽やかでありつつ、しみじみ美味しいお料理をまだ夏の名残の中で いただくことができました。ミラノはすっかり秋だったので、 眩しい太陽を浴びて、夏が戻ってきたようで嬉しくなりました。 旅行がまたできるようになったら、ぜひシチリアにも! ぜひこのレストランで獲れたての魚料理と豊富なナチュラルワインを お楽しみください!最高ですよ。 "Il Consiglio di Sicilia" Via Casmene, 79, 97018 Donnalucata, Scicli RG 340 944 8923 昨晩からシチリアに来ています。今日はお天気もよく、収穫日和! 今日はザハラ を作っている"オレイフィーチョ(搾油所)グッチョーネ" のご近所で収穫しているご家族のところへお邪魔しました。 ザハラ は近隣の人のオリーブオイルも買い付けています。 このあたりは、ほとんどがトンダイブレア種。 彼らが独自で持っている畑は標高が高いため、収穫は来週からとのこと。 彼らは代々搾油所を営んでいるため、どの家族がどのクオリティで どんな仕上がりになっているか、自分たちの目ですべて把握できるのが強み。 ザハラ にふさわしいクオリティをしっかり見極めて、買い付けているのです。 早摘みのオリーブオイルはまだグリーンで実もしまっているので、 Resaレーザと言われる含油率は、ほぼ10%から11%ぐらい。 収穫年によっては、もっと低い時もあれば、13%ぐらいまで取れるときも。 500mlのオリーブオイルには、5kgほどのオリーブが要るということです。 上の写真の小さなバスケットはほぼ16kgほどのオリーブの実。 ということは、1600ml = 500mlのボトルx3本と少し、ということになります。 今年はたわわになっているオリーブの実ですが、オリーブの習性として 1年実をつけたら、1年は休憩することが多いのです。 昨年のように通常の20~40%ほどの収穫量しかなかった場合は 販売しようにも数が限られてしまいます。 自然のものですから、仕方ないのですが。 "Natura decide. (自然が決めること)"、と彼らは言います。 収穫したら、その日のうちに搾ります。収穫後、いかに早く搾るかがオリーブの 品質を決める大きなファクターです。 素晴らしい品質に出会い、生産者を辿った結果、私たちがお付き合いしている 生産者の方々はみな自社で搾油所を持っていました。順番待ちすることがなく、 確実に良いタイミングで搾れるのですから。 上の写真は到着した夜に空港から搾油所に直行し、撮りました。 毎年、オリオヌオヴォ(新油。ノヴェッロとも言います)を味わう時は 感動的です、、。 なお搾油所の仕事は、収穫後に持ち込まれるオリーブを搾って
渡してあげることです。ジュゼッペとヴィートの若い兄弟二人は 搾油所3代目。おばあさんが創立したそうですが、医師である彼らの父は 収穫時期だけ搾油所の仕事をし、その間二つ仕事を掛け持ちしていたそうです。 この時期ヴィートの睡眠時間は平均4時間。 夜中の2時までフル稼働(一時は24時間でやってた時もあるとか)、 その後きれいに掃除をしてまた朝8時にリスタート。 ただ若い彼らは、もっとコミットして搾油所をやりたいと決意。 自分たちの畑を増やし、自分たちのオリーブオイルをしっかり作りたい、と。 そこで弟のヴィートは農業学校を卒業しフルタイムで搾油所と生産者の仕事を。 兄のジュゼッペは、ミラノの大学でマーケティングを学んだ後、 著名な食品会社のマーケティング部で働いています。 その仕事が終わったあと、夜はヴィートと連絡を取りつつ、 オリーブオイルの生産者として二足の草鞋を履いているのです。 なお右上の写真は近所の方(右)とヴィート(中央)、ジュゼッペ(左)。 子どもの頃から搾油所に出入りしている二人は、みなに可愛がられています。 昨晩搾油所についたら、二人が私に手渡してくれたのが、 ザハラ の2020初搾りのオリーブオイル!しかも立派な木の箱に “20周年おめでとう!もりみとそのチームのみなさんに お祝いの気持ちを送ります!”と。じーーーーん、、、。 大切にいただきます。そして箱はずっと取っておこうと思います。 こうした関係はプライスレス。仕事はやっぱり人間関係ありき。 お付き合いの年月とともに深くなっていく信頼関係の上に、 そして良いものを届けたい、という真摯な気持ち、 お互いに共感する向上心と価値観を持っていることが ながくお付き合いをするには不可欠、そう改めて実感するこの頃です。 パネットーネ作りの中で、バーギズの一番の核のようなものは 間違えなく天然酵母でしょう。ファビオが師匠から 100年以上生きている天然酵母を受け継いだのです。 日々、お砂糖と生ぬるいお湯を寝床に発酵します。 上左の写真は、6時間(3時間x2回)発酵した天然酵母。 上中央の写真は、あと3時間の発酵をさせるために、硬くなったcrosta皮を剥がし、 cuoreという柔らかい部分を取り出して計量し、小麦粉を足して (これはセミインテグラーレじゃなく、一般的な薄力粉) 上右の写真のように少しこねます。 ざっとこねたら、まるで手打ちパスタのような要領で何度も伸ばし、 最後に折りたたんで、あと3時間発酵させます。それでやっと またパネットーネ生地に取りかかれるのです。 初めてこの光景を見た時は、衝撃的でした。天然酵母って なんとなく見えないもののようなしていたので、まさか生地状とは! 28度に温度設定したストレージで第3回目・最後の発酵をさせます。 パネットーネの生地の前準備である天然酵母づくりだけでなんと9時間! (3時間x3回) どうしてこんなに長い時間必要かというと、卵やバターなど 発酵させるのに、天然酵母が十分に強い必要があるからだそうです。 そのために3時間x3回=9時間発酵させることで、 天然酵母が一番力を発揮する状態にもっていき、 生地作りにはいります。これ以上が長いと今度は酸味が強すぎて しまうそうです、、。 ちなみに天然酵母パンであれば小麦粉だけですから、3時間の 発酵で十分とのこと。なるほど、、。 天然酵母はどこから来た??という私の質問に二人が答えてくれたのは、
昔は牛の糞や馬の糞を1年間ほど乾燥させた後、酵母として使ったらしいと 教えてくれました。それがどんどん生まれ変わり続けながら 生き続けているのだろう、と。 天然酵母はできるだけいろんなところに旅をした方がよいそうです。 様々な場所に行けば行くほど、その場所特有のいろんな酵母を取り入れて ますます美味しくなるとのこと。 私はビール酵母を使っておらず、無添加のパネットーネにたどり着くまで 数年かかりました。初めのうち何社かには、無添加なんて無理だと言われたり、 (じゃぁ、昔はどうしていたというんだ??と心の中で呟く私) ビール酵母も同じ酵母だ、と言われたり。バーギズの二人に小さな展示会で 会うまでパネットーネはやれないな、と半分諦めていたのです。 ちなみにビール酵母も天然酵母も、もともとの母体でいうと同じグループになります。 "Saccharomyces cerevisiae"。 ただし、ビール酵母は化学の研究室で選定されたもので、 単一酵母であり、それが10倍濃縮されています。 そのため、瞬く間に発酵し、しかも失敗がない酵母です。 もちろん9時間もかける準備も不要です。 その代わり、天然酵母の独特の風味やお腹に優しい点などは望めません。 一方天然酵母はSaccharomyces cerevisiaeだけでなく、 乳酸菌(明確にいうとLactobacillus sanfranciscensis サンフランシスコ酵母) も 入っており、つまり、酵母だけでなくバクテリアも含まれているわけです。 この二つ(つまり天然酵母と乳酸菌)が合わさると、 生地や繊維を切断し、消化がよくなるそうです。 大量生産をしようとしたら、毎日の気温・湿度で性質が変わる このような生きた天然酵母を扱うのは、ほぼ無理でしょう。 ビール酵母が必要な事情もわかります。 ファビオに製造工程で度々“あとどののくらいかかるの?”と質問するたび 笑いながら“わからないよ、ちょうどよい感じになるまでだよ。”と毎回笑われていました。 つまり天然酵母でパネットーネを作るということは、昨日と同じように 作ることはできず、常に経験に基づいた適切な判断が要るということなのです。 あとどのくらい捏ねるか、あとどのくらい休ませるか、あとどのくらい発酵させるか、などなど。 楽しかった3日間。同時に膨大な手間を目の当たりにして 圧倒された3日間でもありました。彼らと仕事できることを誇りに思いたい。 そして昔ながらのパネットーネがこれからもずっと存在していて欲しい、と 心から願いつつミラノに戻ってきました。 |
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