パリ訪問時にはイタリア生産者の品を持参し、ご興味を持ってくださったプロの方々を訪ねました。味わって目を丸くしていただいたり、お褒めの言葉をいただくと、とても誇らしく、生産者の方々にガッツポーズを心の中で送るのは、パリも日本も同じ。愛用してくださるところもでてきて、小さなご縁でも繋がっていくことが、とても嬉しく。食材のサンプルは液体が多く嵩ばるので、この点からも、ミラノからのんびり電車での旅がちょうどよいのでした。 さてフランスとイタリアはお隣同士ですが、食となると以外と遠い印象。パリでさえ、イタリア食材の高品質素材はなかなか最近まで見かけませんでしたし、また美味しいイタリア料理屋さんというのもひと昔前は探すのが難しかった、、、。パリで食べるパスタは、なぜかノビノビで。 フランス人がイタリア料理を学ぶ図は、なんだかとても想像しにくく。16世紀にカトリーナ・デ・メディチがカトラリーやアイスクリームを持ち込み、フランス食文化形成に貢献したという説がありますが、以外と距離があるこの2国。素材重視のイタリアと、ソース文化で技術が優れたフランス。ただ最近のパリでは、新鮮なブッラータもよく見かけるほどに、イタリア食材も市民権を得てきたようです。 さてパリでの日本食文化の浸透度、フランス人に尊敬される日本人、フランス人に愛される日本のモノが増えているのを、足を運ぶ度に感じますが、今回すばらしいタイミングに居合わせました。それは、合羽橋の釜浅商店さんのパリ店オープン。サン=ジェルマンの少し裏手、素敵な中庭に面した場所にデビューされたのです。 魅力的な料理道具が、コンパクトな店内にぎっちり。フランス人の料理人だけでなく、一般の人にも喜ばれるだろう包丁、鍋類、骨抜や、鍋敷きなど。日本に帰国しても合羽橋までなかなか足を運べず、スーツケースにもいつもパンパンでスペースの余裕がない私には、まるで夢のような光景。電車なので荷物の重量は関係ない!価格も一生モノと思えば、手の届かないわけではない、良心的な価格設定!夢の夢だった羽釜、北京鍋(名前を入れてくださった!)、南部鉄のフライパンを、ミラノまで抱えて帰ってきました。もう、嬉しくて嬉しくて。 今までは土鍋を使ってご飯を炊いていましたが、羽釜を使うとご飯がしっかり立つような、格別な仕上がり。まだまだ火加減等も研究中ですが、炊きたての今まであまり使わなかったお櫃も、毎日のように使うようになりました。北京鍋のおかげで、簡単な野菜炒めもぐんと美味しくなり、ほんとうに良い買い物をさせてもらいました。
昔昔のこと。大変お世話になった料理研究家の草分けでもある大先生のところに、まだ20代だった私が、美味しさに感激したトスカーナのオリーブオイルを持ち込んだとき「良いオリーブオイルと塩でこんなに料理が美味しくなると知っていたら、料理の道に進まなかったかもしれないわ」と、ポロリとおっしゃったことを思い出しました。 シンプルなご馳走、それが暮らしの基礎になったなら、どんなに豊かな毎日でしょうか。丁寧に作られた食材や調味料、そして永く使える道具を使ってお料理すること。そんなキッチンでの、食卓でのいい時間。おいしいこと、身体も喜ぶこと。食卓でのおいしい笑顔、、。心豊かな暮らしに、食材を通して少しでも貢献できるように頑張りたい!と改めて思うのでした。
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