写真上 塩田の様子を見守るマッシモさん 「美味しいお塩と美味しいオリーブオイルがさえあれば。」 これは尊敬する料理のプロの方がおっしゃった言葉ですが、本当にそうだなぁ、と思います。 美味しいオリーブオイルに合わせ、旨みのあるお塩をご紹介したいと長く思っていましたが、 塩の製法や職人の技などの理解が足りず、なかなか決められずにいました。 やっと出会ったSalinaro (塩職人)のマッシモさん。 天日塩の名産地シチリア州のトラパニで長い塩づくりの経験を有し、 ほぼ一人で昔ながらの完全天日塩を作っています。 トラパニはフェニキア人が塩づくりを始めた土地。 下のシチリアの地図をご覧いただくと、トラパニはシチリアの西北に位置し、 少し海に突き出た場所とわかると思います。 風の通り道で、海は浅瀬が続き、またシチリアの強い太陽が降り注ぐ場所。 まさに塩づくりに最適な場所なのです。 上記を囲んだところが、塩田が広がる場所で自然保護地区でもあります。 マッシモさんの塩田は、保護されたこれらの地域のほぼ真ん中に位置します。 経験を活かし、昔ながらの方法で今も職人の天日塩を作り続けています。 4月に塩水を塩田に引き入れます。 その塩田は"Prima Entrata =初導入"と呼ばれ、塩田の20% ほどを占めます。 塩水濃度が6-7%になったら、次の塩田に移動させ、 トラパニの風と太陽の光で塩水濃度25%ほどにします。 この段階の塩田は"Servizio=サービス"と呼ばれ、塩田の70%ほどを占めます。 最後の段階の塩田は"Cristallizzanti=結晶"と呼ばれ、10%ほどを占めます。 この最終段階の塩を収穫までに数か月かかります。 塩の収穫は8月から9月にかけて行われます。 その後、塩田の下の土が混ざらないように最新の注意を払いながら、 塩の大きな山を作り、太陽の光で乾かしていきます。 雨などを避けるように、必要に応じて瓦を乗せて守ることもあります。 そうしてじっくりと太陽と風だけで仕上げるのが 旨みや甘さも感じる、ミネラル豊富な職人の天日塩です。 私が訪れたのは、塩の収穫最終日。9月中旬でした。 写真下:塩の山の結晶を手に取らせてもらいました ではトラパニの塩で作られる塩は、全て一緒なのでしょうか? そこがいつも私もわからなかったところ。 味をみても、やはり少しずつ味わいが違います。 マッシモさんのところを訪ねた時、遠くに見えた大手の塩の会社は とても大きなトラクターショベルで塩田にて塩の収穫を行っていました。 そうすると、どうしても大雑把になって土の部分も 取り込んでしまう可能性もあるそうです。 また全てが天日干しで作られるわけでなく、 効率を優先して、オーブンで乾燥するケースも多いそうです。 それでは、せっかくの海の風味や養分も飛んでしまいます。 マッシモさんはコロナ前までは、塩の収穫には100%シャベルで掬って収穫していました。 体をフルに使って収穫した塩を、コンベアーで塩田の外に運び、 塩の山を作っていました。 コロナ禍には誰にも収穫を手伝ってもらえることもできず、 働きすぎて身体の限界に直面。 悩んだ末、シャベル掬いに加えて小さなコンベアーを購入。 シャベルと小型トラクターを組み合わせて収穫をすることで、 今までと同じように品質を確保しながら、 本当にほぼ一人で対応できるようにしました。 国のお役人が監査に来たとき「これだけの仕事を一人でできるはずがないはずだ」と 言われた、でも一人でするしかないんだよね、と笑っていました。 昔ながらの塩づくりは、経験値はもちろんのこと、 それに加えて酷暑の中での大変な体力仕事。 きつい仕事ではありますが「塩づくりが大好きなんだ」と さらりと私に伝えてくれたマッシモさん。 一人で朝早くから夜遅くまで塩づくりに励んでいます。 マッシモさんの塩づくりへの情熱が伝わるのか、 彼の顧客には丁寧なものづくりを愛する有機の生産者の方々が多いようです。 事務仕事をバックアップするのは、奥さんのアルベルタさん。 彼女の優しい笑顔を見ていると、気持ちを温かく包み込まれるよう。 優しさあふれる、素敵なご夫婦。お嬢さんは今から北イタリアのホテルで働く、と。 シチリアでは仕事を見つけることができなかったそうなのです。寂しくなりますね。 写真下:トラパニ名物、クスクス・トラパネージのランチに連れて行ってくれました。 マッシモさんが作る天日塩は、オーブンで乾燥させたり、濾過したり、精製させた塩とは違い、
太陽の光と風だけで乾燥させているため、湿気で固まったり、海藻などのカケラなどが 入っていることもあります。固まったら手でほぐしてお使いください。 細粒は調理の味付け、サラダ、お皿でのひと 振りなどに使える万能タイプ。 粗塩はパスタ を茹でる際、またお肉・お魚のグリルやフォ カッチャなどの味のアクセントに。 まろやかな 塩の旨味が、お料理をワンランクアップさせて くれます。 風、太陽、海からの恵みの天日塩、ぜひお試しいただけたら嬉しいです! 下の写真:海藻に含まれるカルチノイドでピンク色に染まる塩田。この成分を食べてピンク色に染まるフラミンゴの姿も翌朝に見ることができました!
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「バイオダイナミック農法って怪しくないですか?」
そんな声が聞こえてきました。 そこで、私見を書かせていただけたらと思いました。 私も東京に住んでいる際に、ドイツの哲学者ルドルフ・シュタイナーが 提唱したこの農法について、「満月の夜に牛の角に牛糞を詰めて畑のどこどこに埋める」 的なことを聞いた時に、頭の中で「???」とハテナがいっぱい飛びました。 どういうことなんだろうかって。 ただイタリアでこのバイオダイナミック農法を実践している人々の畑を いくつも訪ね、その人たちの仕事の仕方と、豊かな土壌を見た後には そうした思いはもうありませんでした。 大自然の畑に立った時、感覚的にストン、と腑に落ちたのです。 「あ、そうか。輸送手段も限られ、外からは簡単に何も入手できない時代に、 身近なものでどうしたら作物の質を上げるために、 土壌を豊かにできるか試行錯誤の結果、生まれた農法なんだな」って。 いきなり科学的でなく、すみません、、、。 私が唯一事実として言えることは、バイオダイナミック農法をするのには 科学的なものは一切使えず、バイオダイナミック農法のデメター認証取得のためには 有機農法より、ナチュラルであるべき規制が多いです。 結果、有機農法の何倍もの手間がかかる場合が多いことが予測されます。 (というのは有機農法は幅広く、有機用の農薬も売られており そうした合理的な手法で大規模に展開する人もいれば、 農薬不使用で大変な手間と苦労をかけて実践している方々もいます) バイオダイナミックの生産者さんにお会いすると、 自然に対するリスペクトや共生の考え方を持っている方が多く、 またみな揃ってハードワーカー、よく働く方々ばかり。 自然であることを優先し、 そのために手間と仕事が増えることを厭わない人たちです。 私は彼らの仕事と姿勢を心から尊敬しています。 もちろん、さまざまな方々がいると思うので 私が存じ上げているのは、お付き合いのある生産者、 その他お知り合いになれた生産者の方々に限られますが。 私たちの生産者の方では 素晴らしいバルサミコ酢を作っているグエルゾーニが40年近く、 またハーブを届けてくれているシモンさんが30年近く バイオダイナミック農法を実践しています。 彼らの土壌の豊かさたるや! 前回グエルゾーニを訪れた時に、土壌をよく見てみました。 柔らかく、色も濃く、30センチほど掘ると虫もいっぱいます。 彼らはバイオダイバーシティ(イタリア語だとBiodiversitaビオディヴェルシタ)、 つまり生物多様性をできるだけ高める努力をしていて、 畑にはたくさんのと鳥がやってきたり、 背の低いロバ(高いとぶどうを食べてしまうリスクがあり)や うさぎなど、いろんな努力をしています。 そうした動物の糞が土壌での肥料になり、また微生物が豊かになれば その分、土壌もさらに豊かになる訳です。 ぶどうの苗を植えて3ヶ月で2メートルぐらいまで 育った例もこの眼で見ました。 土壌が豊かというのは、栄養分がたっぷりあるということ。 現にグエルゾーニのお酢に含まれるミネラル分は、 一般品に比べて何倍にもなっている、というデータがあります。 それゆえ、私はバイオダイナミック農法のことを 究極の有機農法、と表現している人に共感しています。 私の知見はごく限られている可能性もありますし、 知らないこともたくさんあると思います。 彼らの膨大な努力が実って、素晴らしい作物が出来上がり、 そして手間と時間をかけて素晴らしい品に丁寧に仕上げてくれる。 化学的なものを排除し、できるだけ自然にあるもので 土壌の力、植物の力を高める。 ロジックでは落とし込めないから、怪しいとなると思うのですが みなさまに豊かな自然の恵みをお届けしたいと願っている私たちは 私たちが知る生産者さんの畑の土壌の豊かさに、 彼らの作物の香りと味の豊かさに、 彼らの実直な仕事の姿勢と、自然への尊敬の念を根拠に、 バイオダイナミック農法で作られた品々を 自信を持ってみなさまにお届けしたいと思います。 みなさまの食卓が豊かであるお手伝いができますように。 以下の写真は上二枚がグエルゾーニの畑で、肥料を発行している場所の写真。 下の二枚が畑での様子です。土壌のアップの写真がなくってすみません。。。 ひと口飲むと、ぶどうの濃い味わいが
口の中で爆発! すぅっと身体に染み込み、 自然と元気が湧いてくる、、。 元気の素であることから、私がいつも “飲む点滴”と表現している モスト・ドゥーヴァ。 ぶどうジュースの常識を覆えす、 味わいと健康効果なのです。 ぶどうジュースといえば ぶどうを搾っただけと想像しますが、 濃厚なモストは製造工程に その特別な美味しさの秘密があります。 バルサミコの生産者である、 グエルゾーニの有機ぶどう農園で育った 完熟採れたてのモデナ古来種の赤ぶどうを 60度ほどで約2時間、 皮ごと煮詰めていくのです。 その工程が上の写真です。 ぶどうの皮には、旨味と栄養分が たっぷりと含まれています。 皮ごと煮出すことで、ぶどうの美味しさと 栄養が最大限に引き出されるのです。 その中で特筆するのが、 豊富なポリフェノール。 ぶどうの皮だけにある リベラストロールという アンチエージングにもとても有効な ポリフェノール成分がたっぷり。 そして力強いぶどうからの たくさんのミネラル。 そうした成分がすぅっと身体に 入っていくのです。 秋の前にぜひ、ひとくち飲むごとに 元気になるモストを召し上がってみてください。 残ったら凍らせてグラニータとして 召し上がっても、美味しいです。 濃厚なので炭酸水で割っても 美味しい〜! ヨーグルトにかけてもgoodです。 美味しく夏を乗り切り、 秋に向けて体を整えてまいりましょう! “オリーブオイルは世界で唯一、水分がない果実のジュース”。 カペッツァーナ 農園・ボナコッシ伯爵家7人兄弟の末っ子、 農学博士であるフィリッポの言葉。 今年お呼ばれしたランチの席で、初めて聞きた言葉でした。 確かに。考えたこともなかったけれど、その通り。 オリーブオイルは単純にオリーブの果実を搾り、水分を取り除いたもの。 ではどうしてこんなに品質に差があるのでしょう? たまたま今年は良い出来だ、なんてことはありえません。 膨大な努力の積み重ねが、素晴らしい品質を生み出します。 ここでは高品質なオリーブのポイントをざっくり書いてみたいと思います。 1. 年間通してオリーブの樹を手入れすること 数年前に、イタリア南部プーリア州の南の方で、 オリーブの病気が発生し、収穫量が大きく落ちるということがありました。 私たちの大切な生産者のひとつ、同じプーリア州のラグーソ に心配して聞くと、 あんなことをしていたら病気が起きても当然だ、との返事。 定期的な剪定や、オリーブの周りの雑草のケアなどを まったくせずに放置しておかれたオリーブの樹は、すっかり弱りきっており、 そこに病気がやってきて、あっという間に負けてしまったとのこと。 年間を通してオリーブの樹々をケアしてあげる大切さ。 そのことを実感した経験でした。 トスカーナのカペッツァーナ 農園でも、毎年剪定をしている農園は 少ないということを聞きました。健康なオリーブの実をつけるには、 まずオリーブの樹の健康が第一。それにはやはり愛情をかけてあげないと。 2. オリーブミバエによる被害や、雹(ヒョウ)による傷がないこと オリーブに傷があると、そこから酸化してしまいます。 有機栽培においては、トラッポラ(罠)というペットボトルに 媚薬というかホルモン剤?を入れ、この仕掛けを樹にかけて、 オリーブミバエを防ぎます。 雹ばかりは、努力ではどうにもなりません。 これに対しては残念ながら祈るしかできません、、。 3. 収穫のタイミング:若いうちに早摘み グリーンオリーブとブラックオリーブ、同じものだとご存知でしたか? グリーンのオリーブが熟していくと、紫色を経て黒くなっていきます。 品質を重視しようとすると若いグリーン色、もしくは バイアトゥーラ(ほのかに紫色になり始めた頃)が摘みごろといわれます。 ただモライオーロ種のように若くても黒くなる品種もありますが。 若いオリーブの実は含まれる油分は少なく、 オリーブオイルの収量は少なくなります。 その代わり、フレッシュでグリーンな風味が楽しめます。 若くまだ硬く、枝にしっかりついているオリーブの実を収穫するのは 手ぐしのような簡単な道具で枝を梳いていきます。 最近は、パタパタと電動で動くホウキのような道具もでてきましたが、 いまだに手ぐしの方を多く見かけます。 オリーブの実が熟してくれば、オリーブの含有量も多くなります。 品質より量を求めれば、できるだけ熟させて、オリーブの油分が 増えるのを待った方が目的に合うわけです。 そうなると収穫も枝を揺らして落とすような手法が用いられることも。 大きなオリーブの樹の幹をブルドーザーのような車でガシッと挟み 振動させるとドサドサッと実が落ちます。 ただオリーブの樹がかわいそうで、見ていて胸が痛みました。 こうしたやり方でやっていると、私がお付き合いしているような 丁寧に手ぐしでやっているような農家さんたちは“ホビー(趣味)” のようなものに映るらしいです、、。 以前、そう言って笑われたことがあります、、。 4.収穫に使う、小さなバスケット 写真の右上に写っているような小さなバスケットを用いていることも 大切なポイントです。大きなバスケットを使うと下の方が潰れてしまいます。 5.できるだけ早いタイミングで搾油 美味しい!と思うオリーブオイル農家さんを訪ねてみると 自社に搾油所を持っていることがほとんど。 どうして搾油所があることが大切かというと、 収穫したオリーブの実をその日のうちに搾れるからです。 オリーブの実は枝から外れた時から酸化がゆっくり始まります。 あるいは地面に触れたタイミングから、とも言われます。 収穫してから、できるだけ早いタイミングで搾った方が酸化が少なく 品質が高くなります。 搾油所はコミュニティサービス的な色合いもあり、 近所の人々も自分のオリーブを持ち込み、 規定の料金を支払って搾ってもらいます。 収穫まっさかりの搾油所には、たくさんの人が収穫した オリーブの実を持ち込みますが、搾油はあくまで予約して 順番待ち。すぐ搾ってくれる保証はありません。 自社で搾油所を持っている場合、大抵は朝から午後にかけて こうした第三者のオリーブを搾り、夕方や夜などに 自社収穫のオリーブを搾ることが多いようです。 自社の分は、その日収穫したオリーブをその日のうちに搾る。 これは品質実現の、とても大きなポイントです。 6. 最新のテクノロジー:搾油機 18年前に初めてカペッツァーナ の搾りたてオリーブオイルに 出会った際、まだお元気だったボナコッシ伯爵が私におっしゃった言葉。 “伝統的(トラディショナーレ)という言葉は耳にはいいが、 舌にはよくない” その時から、最新のテクノロジーを備えた搾油機で いかに酸化させずにオリーブを搾ることが大切かを教えてくださいました。 オリーブの実をペーストにする際24度以上にならないように、 そしてできるだけその工程で酸化しないように。 こうした搾油の機械は大きな投資ですが、やはり大きな違いをもたらします。 7. 行き届いた掃除で搾油機、搾油所を清潔に保つこと これもボナコッシ伯爵が教えてくださったこと。 どれだけ掃除が大切かわかっている人は少ない、と。 毎晩きれいに掃除することは、品質の上で基本中の基本。 機械のどこかに酸化したオリーブのカスがついていたりしたら、大変です。 また搾油所自体も清潔であることは、品質への姿勢の現れ。 新しい生産者さんと出会った時、おつきあいが始まる前に 必ずチェックする大切なポイントでもあります。 簡単なようですが、夜中の2時まで搾油したあと 掃除を徹底するのは相当な姿勢と努力。 生産者のみなさんを尊敬しています。 8. ステンレスのコンテナーで真空状態で保存 カペッツァーナ の100年以上の歴史を保つテラコッタの甕(かめ)に 個人的には大変思い入れがありますが、数年前から日本出発分は この甕でのデキャンティングでなく、ステンレスコンテナー保存に 移行しました。 ここにオリーブオイルを入れたらステンレスコンテナーと蓋と オリーブの表面の間に真空状態を作り、酸化を防ぎます。 搾ったあと、どのように保管するかも大切な要素のひとつです。 9. 温度管理したコンテナーで海を渡ります 初めてオリーブオイルを輸入することになった時から、船の輸送は ワインと同様、温度管理したリーファーコンテナーで輸入しています。 通常のコンテナーに比べ何倍もコストがかかりますが、 細心の注意、数々の努力で生産者さんが上質に仕上げたオリーブオイル。 輸送で品質を劣化させるわけにはいきません。 赤道直下で数日間50度以上の熱などに晒されてしまったら、 生産者さんの努力が水の泡です。 はじめは“本当にオリーブオイルをリーファーで入れるんですか!?”と 伝える度に驚かれましたが、いまはオリーブオイル文化も多少は浸透し、 理解してもらえるようになりました。 ** ここまで長くなってしましましたが、ざっくりポイントを書いてみました。 ただまず最初に基本としてとても大切だと思うことは、 オリーブの樹と土地の相性です。 カペッツァーナ の土地ではエトルリア人が2600年ほど前に オリーブオイルを保存していたことが発掘された甕から分かったそうです。 ほとんど自生に近い、オリーブの樹々。 トスカーナは定期的にやってくる冷気でオリーブが被害をうけ 南イタリアでよくみかける、何百年という立派な樹齢のオリーブは 見かけませんが、その歴史の古さから、オリーブ栽培に適している土地です。 シチリアのザハラの農園には、200年とも思えるような樹齢のオリーブも あり、この地も自生していたに近い状況でしょう。 イタリアのオリーブオイル生産量の50%もを占めるプーリア州は 1000年を超えるともいわれる樹齢が古いものも多く、 土地と古来品種の相性の良さは、いうまでもありません。 大自然の営みから授かったもの。 この点がまず品質の出発点であると思うのです。 長い文章に、最後までお付き合いありがとうございました! いよいよ3日目、型に入れておいた生地がしっかり膨らんでいます。 ほぼ1日時間をかけてゆっくりここまで発酵させるのには、 消化をよくするということの他に、お砂糖を食べて育つ天然酵母が パネットーネのお砂糖をほどよく消化する時間でもあるのです。 そのためバーギズのパネットーネはあまり甘くありません。 天然酵母がお砂糖を食べる時間が20時間あるからなのです。 これ以上時間をおくと甘さがさらに控えめで 今度は酸味がでてきます。このあたりの加減もバランスですね。 焼き時間はほぼ40分ほど。 ただ天然酵母の生地は、気温や湿度など日によって変わるので、 この時間、というのがないそうです。 そのため、目が離せません。 40分ほどの間、どんどん良い色になり膨らんでいきます。美味しそう! 中心部の温度を測って、焼き上がりが大丈夫かどうかチェックします。 焼きすぎるとパサパサに、一方焼き方が足りないとカビが生えてしまいます。 OKだったら、ひとつずつ串刺しにしてこのように逆さまにします。 逆さまにしないと潰れてしまうのです。 6~7時間はこのまま、袋に入れるのは10時間ほど経ってから。 月曜日の朝4時から天然酵母作りを始め、水曜日にやっと焼き上がる。 ビール酵母や添加物を使えば、ずっと短時間で発酵し失敗もない。 天然酵母のように日々状態が変化することもないから、 毎日同じように短時間で決まったように仕上げられる。 それでも彼らは昔ながらの膨大な手間と時間をたっぷり使った方法で作り、 考えられる限り最高の材料を使ってパネットーネを作り続ける。 こんな大変なのに笑顔たっぷりで、ちょっとジーンとしました、、。 いつも良い笑顔のファビオ。その働き者ぶりに感嘆!
一度ファビオのおばあさんに市場で遭遇しました。 80歳の今も野菜と果物を市場で元気に売っているのです。 どうやらファビオは、おばあさんの血を引いているらしい、、。 これだけ大変な仕事を笑顔でこなせるって素晴らしい! 3日間彼らと一緒にいて、とても良い刺激をたくさんもらいました。 仕事への愛情、真摯な姿勢、良いものを作ろうという心意気、、。 肩に力を入れずに、ごく自然にそうした原動力で動いている感じ。 そうしたものを笑顔とともに、ヒシヒシと感じられ、心の栄養を 彼らからたくさん受け取りました。3日間ありがとう、ファビオ、リカルド! 最後に焼きあがったパネットーネの前でパチリ。 さぁ彼らのように、私も楽しく頑張っていきましょう! |
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