ベルギー修道院で行われている恒例の茶道セミナー2020年1月 毎週水曜日の茶道のお稽古が半年ぶりにスタート。 消毒とマスクを徹底しながら、久しぶりにお点前の練習が できることに。 なぜ茶道をするのか? 裏千家ローマ支部を50年以上前に始められ、 その間ヨーロッパ中にお茶の精神を広められてきた恩師・野尻先生が、 ヨーロッパではロジカルにその意味を説明できないと、受け入れられないと おっしゃったことが印象的だった。 18歳でお茶のお稽古を始めた時は、 大叔母の親友である、明治生まれのおばあさま先生に ご指導いただき、本当に何も考えずただお茶に通っていた。 どこまでも優しくて朗らかな先生にお会いすることが楽しみで、 そして清らかな茶室と美しいお道具など、 日常とはまったく違う、澄んだ空間に身におけることに惹かれて。 初心者からまったく何年も上達しない私を “いいんですよ、いつか身体が覚えますから”と ニコニコしながらいつもおっしゃっていた先生。 その優しさに甘えて、向上心はほぼゼロと言っていいほど、 ただなんとなく通っていたのだった。 多分若かった私は、茶室をドカドカと歩き、お道具の扱いもさぞ雑で きっとハラハラされたに違いない。 そんなことをおくびにも見せず、いつも果てしなく優しかった先生。 不真面目極まりない生徒である私が、後ろめたさをかかえながら 久しぶりにお稽古にいくと、嬉しそうに目を細められて “まぁ、あなたおえらいわね!お忙しいでしょうに。 よくいらしたわね!”とおっしゃられる。 そんなとき私は申し訳なさすぎて、そして天使のような純真な先生に 涙がでそうになったものだった。 先生が示してくださった姿勢や、かけてくださったお言葉は 何十年経ったいまもずっと私の中で光を放っている。 ミラノに来て、長いブランクの後に通い始めたお茶は、 日本で接したお茶と随分違い、座禅と呼吸が要と習う。 まったく違うお茶の側面に今は強く惹きつけられて、 野尻先生の"心のお茶" を少しでも身につけられたらと願っている。 イタリアにいるおかげで、京都からいらした禅のお坊様に ベルギーの修道院で接心(座禅を学ぶこと)を指導いただけるなんて 誰が想像しただろうか。 日本の心を未知の地で広められて来た野尻先生の薫陶を受け、 ヨーロッパのさまざまな場所でご指導されている日本人の先生方。 そして茶室まで作ってしまうほどお茶に献身している、 ヨーロッパ人の先生方。 お道具や環境も限られた中、工夫しながら努力されているのは すごいこと。 こうした方々にご指導いただくことができて、とても恵まれていると思う。 人生はまだまだ楽しいことが、きっとたくさん待っている。
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