フランスに近い、イタリアの北部ピエモンテ州で週末を過ごした直後、ぐんと南へ下がり、イタリア半島のブーツの踵・プーリア州へ。 北と南の大いなる差は頭ではよく判っているものの、北の直後に南に出張したことで、何につけ、北と南の差を感じることとなりました。 北のピエモンテ。ヘーゼルナッツの木々に、連なる丘に広がるぶどう畑。眺める景色はどこも緑。 訪れた小さな町アルバは、歴史ある街並みが美しく整備され、とても清潔に維持されていて文化度が高い印象。 街の中心には車はなかなか入ってこれないようになっていて、地元の人と旅行者が半々ぐらい?みなゆったりと散歩している。カフェやエノテカが何軒か並ぶ広場では、どの店の前にもパラソルがたくさん並び、ワインやコーヒーを飲みながらゆっくり寛ぐ姿。 観光客相手のお店は日曜日でも開いていて、いまシーズンの夏の黒トリュフが並び、地元高級ワインのバローロやバルバレスコなどの有名銘柄が古いヴィンテージも取り揃えて並んでいる。小さな町ながら、メインストリートには高級ブランドのお店まであり、観光客とトリュフとワインで潤っている町なんだなぁ、という印象。(アルバで写真をほとんど撮っておらず、トリュフとワイン以外は他のピエモンテでのスナップです) その翌日に訪れたプーリアの州都バーリは、海も空もどーんと広がり、いろんなグラデーションのブルーにどこも溢れている。毎回バーリの空港に着陸少し前に窓から眺める景色は、平地に果てしなくオリーブ畑が続き、海岸線の向こう側には真っ青な海。まさにオリーブの大地だなぁ、と毎回思う。空港から街に向かうと、雑多で荒削りな印象の建物が密集する景色の上に、真っ青な空が広がっている。
バーリは旧市街以外、道幅もとても広く、歩くには一苦労。車で移動する人がほとんど。劇場や高級ホテルが並ぶ中心地の目の前の海岸で、漁師が獲ったばかりのタコを岩に打ち付け柔らかくしている様子を、何度か見たことがある。旧市街では普通の家の軒先で、マンマたちが手を器用に動かしてオレキエッテを作っているのを頻繁に見かける。これぞプーリアっていう感じ。気取りがないというか、気取った場所でも暮らしの営みが当たり前にそこにあるというか、生きる力に満ちているというか、よそ行きの顔がないというか。 南の人は働かないというのは通説ですが、私がお付き合いしている方々には当てはまらず、、。お取引しているバーリのチベリーノ一家も、内陸のグラヴィーナで搾油所を営むラグーソ家も、一家総出で本当によく働きます。どちらも80歳近い両親もまだ現役で働いているし、ラグーソにおいては大きな展示会に、まだ11歳の息子を連れてこようとしていたと知り(もちろん手伝わせるため)腰を抜かしてしまった。どうせ継ぐのならば少しでも早く仕事に慣れた方がよい、という理由から。 北にもアルトアディジェ州やフリウリ・ベネツィア・ジュリア州など、さまざまな文化圏があり、北の中でもいろいろ。南はシチリア州もあれば、カラーブリア州もある。多種多様な場所に、多種多様な人々。されどやっぱり、“北だなぁ”、“南だわー”と何につけ感じるのでした。これがイタリアの面白さなのでしょう。
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